潰瘍性大腸炎の再燃

初めての潰瘍性大腸炎の発症から6年。
結婚して地元を離れ、新天地での仕事など、大きく生活環境が変わる出来事がありました。

当時は友人もいなく、交流を深めるため1週間に2〜3回飲みに行くような時もありました。
食生活は大きく乱れ、不規則な生活により体重も7キロ増えました。

その時は血便はありませんでしたが、腹の奥底に水があるような独特な感じがすることはありました。
何となく嫌な感じを思い出し始め、良い状態ではないと感じました。

その後、山スキーでとても疲れた後に、高熱と下痢と血便が起きました。

再燃と転院

血便が出た時はマズイと思ったのですぐに近くにある専門の胃腸内科を受診しました。
処方された薬や注腸(座薬)も効かない状態でしたので、内視鏡をお願いしましたが1ヶ月先。
血便出ているから早くお願いしましたが、聞いてもらえず。
待っていられないので、別のクリニックに変えました。

2つ目のクリニックでは、すぐに内視鏡検査を行っていただけました。
大腸は荒れて偽ポリポーシスという状態でした。
そして「傷んだ腸壁は治らないので大腸摘出※1」と言われ、気持ちが滅ってしまいました。
確かに原因の大腸を摘出すれば解決するでしょうが、、、
治る可能性を求めて転院を決めました。

※1…大腸の腸壁は適切な治療で回復することを、自身の大腸で実証しています。

3つ目は大きな大学病院へ転院しました。
大きく状態は悪くはなりませんでしたが、改善の見込みは感じませんでした。
担当医もパソコンと向き合って、真剣に考えているのか疑問でした。
1年ほど通院して内視鏡検査を行いました。
しかしながら専修医による、腹の中をかき回されたような強烈な痛みで失神しそうになりました。
また誠意の感じられない態度に腹が立ち、転院しました。
この時から、今でも睡眠薬を使わないと内視鏡検査はトラウマでできません。

4つ目は大腸を専門にしている胃腸外科病院に転院しました。
血便は続いていましたが、症状をごまかしつつアサコールで治療を続けていました。
時々サボりがちで悪くなったら通院するような感じでした。

しかしながら昨年末から血便と下痢がひどくなり、潰瘍性大腸炎の再燃を認めざる得ませんでした。
そして1月は定期的な通院と食事制限で回復していき、血便は治まり固型便になっていきました。
体調もいたって調子良かったのですが、再び2月から便の状態が悪くなってきました。

スキーシーズン真っ只中でしたが、大腸の働きが悪いと力むと漏れてしまうことがあります。
プライドは捨ててオムツを使い、食事も最低限なパンと栄養食で腸を休めていました。
また薬の主流はアサコールからリアルダに変わった時期です。

スキーシーズン終了と関節炎の発症

状態はくすぶってはいたものの、大腸は痛みを感じないのでスキーをしていました。
今シーズンは雪に恵まれ、毎週新たな雪山も開拓していきました。
20年ぶりくらいにバックフリップもやったし(笑)、満足のいくシーズンでした。

そして3月中旬、新たな年度に向けて気持ち切り替えた時から左膝に違和感を感じ始めました。
その時は疲れで、前十字靭帯断裂の古傷が痛むのかとも思いまいした。
しかしながらその痛みは日増しに強くなり、週末の仕事を終えてからは歩くことも困難になりました。
同時に大腸の状態も悪化して、トイレに行くために四つん這いで行っていました。
そう、この膝の痛みは大腸の悪化からきていたのです。

【GCAP】顆粒球吸着療法

週明けて、通院している病院に駆け込むと即入院でした。
この病気は自分の白血球(顆粒球)が大腸の壁を攻撃してしまう自己免疫疾患です。
その原因になる顆粒球を取り除く顆粒球吸着療法を行うことが決まりました。

顆粒球は減ってしまっても、新たに脊髄で作られるので体内環境は改善されます。
また薬を使わない治療法なので、副作用も極めて少ないです。
ステロイドを併用していましたが、顆粒球の絶対数が減ることで減薬できると思いました。

顆粒球吸着療法を受けて

この治療法は透析のように一度血液を体外に出し、フィルターで顆粒球を濾して再び体内に戻します。
平均的に1分間で30ml(60分の施術で1800ml)血液を循環させます。
とうぜん血管も太く血流が多いほうが好ましいので、針は太く点滴と比べると痛いです。
脱水気味ですと脱血しにくくなるので水分はしっかり摂っておいたほうが良いです。

痛みのイメージは一般的な点滴の痛みを感じたら、もう一段階深い所に針を送るような痛みです。
リドカインという局所麻酔薬を貼ると刺入時の痛みは軽減しますが、僅かでも外れると痛いです。

潰瘍性大腸炎で特定疾患の患者として認定されていれば、国から10回の補助を受けることができます。

顆粒球吸着療法の効果

一般的には週1回で行っていくことが多いようです。
今回は重症でしたので入院中の1週目に5回、翌週に3回、退院後に通院で2回行うことになりました。

最初の3日間は変化なく、排便も1日に10回以上と非常に辛かったです。
5日目頃から熱も下がり排便も5回以下になり、ずいぶん楽になりました。
また歩けなかったほどの膝の痛みが、嘘のようにひきました。
また相乗効果として、免疫が過剰に働いてしまうことによって起こる花粉症も治りました。

絶食が解禁すると、まず流動食でした。
久しぶりに胃腸が動いたので午前中は何回かトイレに駆け込みましたが、昼食後は落ち着きました。
入院中の絶食により、体重61kgのガッチリ体型から47kgまでおちました。
当時は2階にいくだけでも筋肉痛になりました。

結節性紅斑を発症

退院して数日後に、右上腕の内側に身に覚えのないブツブツした炎症がおきました。
触れると火傷のようなヒリヒリしたような感じです。
翌週には左膝外上にも同じような炎症が起こりました。
初めての潰瘍性大腸炎の時は見られなかったですが、免疫疾患の合併症で起こることがあるようです。

入院中は10日間の絶食によって腸を休めることができました。
しかし状況は退院時と変わらず、排便回数は5回程度のままで 血便も出ていました。
薬はリアルダとアザニンを服用していました。
また肛門からステロネマという注腸剤を使っていましたが、苦痛でした。

【抗TNF-@抗体製剤】ヒュミラー

回復の見込みがないので強力に免疫機能を抑制するヒュミラーの治療を説明されました。
しかし、効果はとても高いが「生涯ヒュミラーを皮下注射しなければならない※2」と言われました。

強力に免疫機能を抑制することは、大腸にとって良い方法だと思います。
でも、全身のバランスとして見たときに良いとは思えませんでした。
また生涯にわたって投与を続けることは、考えただけでも苦痛です。

当時の担当医はステロイド(プレドニン)による治療に否定的でした。(少量は使っていました)
しかし、初めて発症した時に改善した治療はステロイドでした。
長期使用による様々な副作用は理解していましたが、自分の身体で実績がありました。
失礼を承知で、ステロイド使用と一定期間で断薬する決意を手紙を書きました。
しかしながらそれは認められず、、

そのやりとりを知っていた方から、別の病院を紹介されました。

※2…ヒュミラーは回復状況によっては断つこともできるようです。

再燃から寛解期に

フィフスオピニオン

通院中の病院ではヒュミラーの治療を受けるための検査をしていました。
しかし納得いかなかったので、紹介された炎症性腸疾患の専門のクリニックに行きました。
まだ転院することを決めていなかったので、セカンドオピニオンによる自費診療でした。

診察すると、全ての方法がエビデンス(臨床研究結果)に基づいていました。
「アレがダメならコレ」のように引き出しが凄く、スキがありませんでした。
また自分で調べた漢方の青黛(せいたい)や、糞便治療などの相談にも応じていただきました。
そしてセカンドオピニオンならぬ、5つ目となるクリニックに転院することを決意しました。

さじ加減

同じ薬を処方されましたが、それぞれの配分量を変えることで みるみるうちに回復していきました。
また僕の意見を優先していただき、根本的な解決にならないと感じていたステロネマは中止しました。
そして転院してから二週間で血便はおさまり、1ヶ月後には排便も1回以下になりました。

まさに薬は「さじ加減」です。

ステロイドは減薬中ですので注意はしておりますが、外食もできるようになりました。
何より「治る気持ち」になれたことが大きいです。

退院から半年

当たり前ですが、暴飲暴食はNGです。量から質になりました。
内視鏡で荒れていた腸の組織も回復したので食事やお酒の制限はありません。
ここ4年ほど大腸の状態はくすぶっていましたが、5つも病院を変えてやっと正常に回復しました。
当時は「大腸を摘出しなければならない」「生涯ヒュミラーを皮下注射しなければならない」と絶望的に感じました。
でも治療法に納得いかないなら、変える勇気が大切ですね。

病気の恩恵

仕事柄、「お大事に」を言う立場ですが、逆転しました。
また自営であるゆえ休職は自分にも患者さんにも悪いですが、この状況にならなかったら気付かなかったこともあります。

まず親や家族、友人など感謝の気持ちです。
人の暖かさや、つながりを感じました。サポートがあったからこそです。

また病気によって著しく筋力が落ちてしまいました。
しかし身体の使い方の意識を変えることで 日常生活からスポーツまで筋力に頼らずに動けることを実感しました。
チカラが抜けて効率よくカラダが動くと、新たな発見など生活の楽しみが拡がります。
仕事にも応用して、一人でも多くの方の役に立てればと思います。

カラダは一度悪くなると取り戻すまで時間がかかります。そして戻らないことも多々あります。
「健康でいる事が 何よりも素晴らしい」です。

2017年4月:退院時47kg、長男1歳2ヶ月

プロフィール

奥村 尚之
奥村 尚之
動き回ることが好きだから、いつまでも健康な身体に!
自然なカラダの使い方 をコンセプトに、原因や対処法、またスポーツに活かせる動きなどを 解剖学に基づきわかりやすく発信しています。
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